『NO or?』





「抱かせてよ、仔猫ちゃん」

返ってきた答えは無表情。ポーカーフェイスなアンタが好きさ。
後ろから追っかけてみてもダメだったので、前からの直球勝負に出てみました。押してダメなら更に押せ ってね。
ところで仔猫ちゃん。答えはノー?それとも?

「誰が仔猫だって?」

勿論アンタのことだけど。お気に召しませんでしたか、やれやれ。

「俺にとって可愛いこは皆仔猫ちゃんなのさ」
「あぁ、で?」

で?それは俺の台詞だけど。とぼけたフリしたアンタが好きさ。だって、ノーじゃないならイエスでしょ?
腰に腕を回して、首筋に指を滑らせて。
あれっ。アンタの肌の熱、あんまり感じないんだけど。俺たちって体温同じ?

「いや、お前の方が」

熱い。ゆっくり動いた唇が近付いてきて、それに応えるように少し屈んだ。
シャツを掴まれた。俺が帽子を外してやって。そしたらアンタは自分でネクタイを緩めて。
だから舌を差し入れた。本当に、俺の方がちょっと熱い。かも。心臓が一回、跳ねた気がする。
脱がす前に押し倒してしまった。足と足が縺れ合う。いや、絡み合う?舌も絡み合って、何 これ。
離れた唇から吐息が漏れた。俺のかアンタのかも解らない。
アンタの濡れた唇が真下にあって、だから本当に何、これ。

(何の気まぐれ?)

勝手に喋り出しそうになった唇に、ちょっとストップストップ!雰囲気読もうよ。
とりあえず何も言わないでおいて、誘われるように目の前の唇を軽くひと舐め。ぺろり。

(ところで、答えはイエスで良かったんだっけ?)

違うってば、ココで聞く必要はないの!
可愛いこの仔はお喋りな奴が嫌いなんだって。無駄な話も嫌いなんだって。察しない奴が一番ダメなんだと。
間を誤魔化すみたいに首元に顔を埋めた。誰もが求める甘い香りと、細い髪の毛。ふわり。
あとさ、脳味噌成長しない奴も嫌いなんでしょ?だから、俺はちゃんと学習してきたの。
一番大事なときだけ、名前を呼ぶんだ。

「リボーン」

大丈夫、俺の頭の中のテキストブック。マニュアル通りにココまでやれた。褒めてやらなきゃ。
何ひとつズレてない。ズレやしないさ。
だって、一番の重要項目は。

(アンタは、自分で思ってる以上に『俺のことが好き』でしょう?)

ココで何かが返ってくれば俺の勝ち。正面からの直球勝負は、見事な勝利をおさめるのです。
俺が耳元で囁いた名前に。ほら、返してきたのは長い腕。俺の首に絡んでくる。
自惚れじゃないってば。事実が何よりの証拠。

言葉より確かな答えをくれる、そんなアンタが好きなのさ。
答えはやっぱりイエス、だよね?










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こんなランボでも悪くないような!なんてなんて.テキストブックのとこの元ネタはあれ、アレですアレ
携帯サイト三万打フリー文でした!





†2006.8.30