『colombina』




























「やりてーな」

独り言のように呟かれた言葉に、えっ、と思わず声が漏れた。

「お…‥お望みならば?」
「そっちじゃねぇ」

キッチリと結ばれたネクタイに手を掛ければ、返ってきたのは右の拳。痛い。殴られた頬を摩りながら、じゃぁ何?問いてみる。
夏も半ばに差し掛かった時期だというのに、あんなにキツくネクタイ締めてて暑くないのかな。考えていると「お前の顔の方が暑苦しい」なんて言われてしまった。

「花火だ」
「…‥花火?」

身を預けていたソファーから立ち上がると、リボーンはディーノの所為で少し緩んだネクタイを整えた。
テーブルの上に置いていた帽子をいつものように被って、振り向く。

「花火、やりてーんだ」

そう言ったリボーンの瞳が、ディーノの目には一瞬星のように輝いて見えた。

「ガキー」
「俺はまだ12だ。つーかお前もやりてーんだろ?」
「うん」

Tシャツの袖を捲り上げながら、ディーノも立ち上がる。
花火とか、もうそんな季節なんだよなぁ。
そう思うと、長袖のカッターシャツを着ているリボーンがやたらと暑そうに見えてきた。でも、顔は涼しげ。

「よしゃ、買ってきてやるよ」
「ロケット花火がいい」
「あー、五千本くらいかな」
「足りねーだろ」
「マジで?」

冗談。
笑う顔は、花火なんかよりもずっとずっと綺麗だった。











初の試みDリボ.でも最初はランリボの予定だった...短い!そしてちょっと修正.
花火五千本って多いよね?と思いつつも僕は今度六千発花火見に行きます 笑.




†2006.7.28